豊田景明は平田さんの表情を見て、彼自身も思わず緊張し始めた。
今回、暁美の消息が得られるだろうか?
しばらくして、平田さんは拡大鏡を置いて言った。「この玉の飾りは覚えがあります。ある男性が質入れに来たものです。当時の彼の様子では、急いでお金が必要だったようで、取り戻す気もなさそうでした。」
「男性ですか?平田さん、その男性が誰か知っていますか?」
豊田景明は本当に想像したくなかった。もし暁美が北海道から永崎城に来たとしたら、悪い人に出会ってしまったのではないか?
もしかして玉の飾りは誰かに奪われて質入れされたのだろうか?
彼は最後まで信じられなかった、暁美が彼からもらった愛の証の玉飾りを質入れするなんて。
彼が去る時、彼女にこの玉の飾りを贈ったのは、ほぼ彼女が豊田家の長媳になることを確約したも同然だった。