鈴木音夢はもうここにいることができず、長く中にいることもできなかったので、振り返って直接集中治療室を出た。
集中治療室を出ると、卓田越彦は彼女の目が少し赤くなっているのを見た。
「妻よ、彼は大丈夫だから、心配しないで」
鈴木音夢はうなずいたが、何も言わず、卓田越彦と一緒に脇の椅子に座った。
時間が少しずつ過ぎ、外の空も少しずつ明るくなってきた。
朝の6時過ぎ、土屋先生が自ら豊田景明の検査に行き、各指標は夜半よりもずっと良くなっていた。
土屋先生は豊田景明の体のことを一番よく知っていた。彼が出てくると、陽川恵美と豊田祐助はすぐに前に進み出て、「土屋先生、父の状態はどうですか?少しは良くなりましたか?」
「状態は悪くないですよ。予想外のことがなければ、正午には集中治療室を出られるでしょう。安心してください、豊田さんは命が強いですから」
土屋先生のこの言葉を聞いて、後ろに座っていた鈴木音夢はひそかにほっとした。
彼が集中治療室を出られるなら、卓田越彦は豊田景明を卓田病院に移す予定だった。
自分の病院なら、すべてのリソースが最高のものだ。
正午になると、豊田景明の状態は安定し、直接卓田病院に移された。
土屋先生は同行し、彼にあらゆる検査を行った。少なくとも、現時点では生命の危険はなくなっていた。
鈴木音夢と卓田越彦も病院を離れなかった。音夢はあまり話さなかったが、卓田越彦は彼女の心の中で実際にはとても心配していることを知っていた。
7時頃、豊田景明はついに目を覚ました。
彼は目を開け、意識が少しずつ戻り、無意識に周囲を見回し、最後に視線が鈴木音夢に固定された。
彼は話すのが困難で、手を少し上げて、「音...音夢、心配...しないで、私は大丈夫だ」
一言一言が途切れ途切れで、鈴木音夢の心を痛めた。
鈴木音夢は近づいて彼の手を握り、「もう話さないで、ゆっくり休んでください」
豊田景明は彼女が自分の手を握ってくれるとは思っていなかった。
全身に力がなく、話すのも大変だったが、豊田景明はそれでも力を込めて彼女の手を握り返した。
「音夢、ありがとう...。お父さんと...呼んでくれなくても、構わない、私は...満足だ」