第22章 得は自分で見つけるもの

福井斗真は悠然と中に入ってきた。安藤国彦は急いで椅子を引き、使用人に声をかけた。「急いで、もう一組の食器を用意して。」

安藤凪は口元を引きつらせた。まったく、この食事は避けられないようだ。

福井斗真と一緒にテーブルに座った凪は、安藤国彦が使用人に指示を出している間に、こっそりと彼の服の裾を引っ張った。

彼女のこの可愛らしい仕草に、福井斗真の目に笑みが浮かんだ。彼は協力的に体を傾け、安藤凪は声を潜めて小声で言った。「私はあなたに何も悪いことしていないのに、また罠を仕掛けに来たの？」

福井斗真は彼女を横目で見て、歯を食いしばる表情に唇の端を上げ、同じく小声で答えた。「得するチャンスがあるなら、もちろん利用するさ！」

安藤凪は言葉もなく福井斗真を睨みつけた。一食の得なんてそこまでする？