彼の目には怒りの炎が燃え上がり、バンと音を立てて机を叩いて立ち上がった。机の上に置かれていたものが、その衝撃で、バラバラと床に散らばった。
高橋鐘一は病室から異音を聞き、急いでノックしてから入室した。床一面の散らかった様子を見て、目に驚きの色が浮かび、続いて少し不思議に思った。なぜか病室の温度が外よりも数度低く感じられた。
「鈴木湊が最近担当している林田家の案件だが、邪魔をして敗訴させろ。それから彼と久保輝美の二人の、この一ヶ月の動向を調べておけ」
安藤凪の血液から睡眠薬の成分が検出されたため、福井斗真はその日のうちに高橋鐘一に調査を命じた。最終的に、安藤凪がその日参加したパーティーに焦点が絞られた。小規模なパーティーで参加者も少なかったため、高橋鐘一はすぐに容疑者を特定した。久保輝美だ。