「こんなに頼まれたら、断れるわけないだろう?」
福井斗真は口元を少し上げ、強引にもう一度安藤凪にキスをして、しばらくしてから離した。
二人がカフェを出ると、高橋鐘一はすでに車で待っていた。
「帰るぞ」
安藤凪は驚いた。「帰る?仕事は?」
福井斗真は口角を上げた。「お前が言ったんだろう、家でもいいって」
「……」
車は順調に福井家へと戻り、ドアを入るとすぐに福井斗真は安藤凪を抱き上げ、寝室へと直行した。
安藤凪は福井斗真の肩を何度か叩いた。「福井斗真!離して!」
福井斗真は眉を上げた。「後悔したのか?」
「違うわ……」安藤凪は機転を利かせた。「もう少しムードを大事にできないの?」
福井斗真は口角を上げた。「どんなムードがいい?」
安藤凪はリビングのバーを見渡した。「お酒を飲むのはどう?」