第151章 ごねる

安藤凪はケーキナイフを持ってケーキを切り始めたが、案の定、あまり切らないうちに硬いものに当たった。彼女は目を上げて、諦めたような表情の福井斗真を見つめ、薄い唇を少し上げて言った。「どうしたの?私が追いかけにくいと思って諦めたの?それなのに、あなたは最初、私ともう一度やり直すって堂々と言ったじゃない」

「途中でこんなに多くの問題が起こるとは思わなかった」福井斗真はここ数日起きた出来事を思い出し、安藤凪も同様に良くない記憶を思い浮かべた。確かに、まるで災難のようだった。

「じゃあ、どうする?」安藤凪は肩をすくめた。

福井斗真は目の前のものを前に押しやり、駄々をこね始めた。「ダメだ、凪ちゃん、今すぐ僕の告白を受け入れるか、それとも僕が君を追いかけるのはここで終わりにするか。どっちにしても、君は法律上正式に僕の妻なんだから、僕はもう追いかけることに成功したと思うことにする」

「本当に自己洗脳が上手いわね」安藤凪は少し笑ってしまった。

「これは自己洗脳じゃない、ゴホン、凪ちゃん、この数日間、僕は多くの脳細胞を無駄にしたけど、成功しなかった。やはり高橋雅子が言った通り、君は追いかけにくい。僕はようやく理解した、君はもともと僕のものだし、この一生ずっと僕のものだ。わざわざ余計なことをする必要はない」

安藤凪は不思議なことに、福井斗真の言うことに少し道理があると感じた。

彼が業界で最も手ごわい狐と呼ばれる理由も納得できる。彼には確かにその才能がある。福井斗真は数言で人を混乱させることができ、これがビジネス交渉の場であれば、相手はきっとぼんやりとして彼の要求に同意してしまうだろう。

しかし、これこそが福井斗真なのだ。

彼女ももう、福井斗真に追われるような日々を経験したくなかった。結局のところ、彼の追求の方法は確かに少し変わっていて、このまま続ければ、彼女と福井斗真は大衆の噂話の的になってしまうだろう。

「あなたがそう言うなら、こうしましょう」安藤凪はケーキを皿に分け、中からしっかりと包まれたものを取り出した。開けてみると、中には確かにアンティークのジュエリーセットが入っていた。ダイヤの指輪、ネックレス、ブレスレット、そしてイヤリング、すべて未カットの天然ダイヤモンドで、それぞれのダイヤモンドがユニークだった。