電話を切った鈴木湊は、すぐに人を遣わして福井氏の件を調査させ、続いてパソコンを開いてメールボックスを確認した。案の定、福井氏から送られた最後の重要なメールがあり、その中で相手は福井氏が経営不振に陥り、破産を宣告したと述べていた。
経営不振?そんなはずがない。福井斗真はかつて一人の力で福井氏のGDPを倍増させた男だ。どうして経営不振で破産などということがあり得るだろうか。彼はマウスを握る手に力を込め、これが福井斗真の策略だと悟った。
彼が長い間計算していた株式が、今や紙くずになってしまった。
すぐに、鈴木湊の部下が調査報告書を持ってきた。報告書には、福井斗真が一ヶ月前に既に会社の破産を申請していたことが明確に記されていた。
三日前にようやく結果が出て、彼は昨日正式に破産を宣言した。かつては輝かしかった福井ビルは、今や人影もなく、ビル全体に賃貸の広告が貼られていた。