第213章 あなたを辛い思いをさせてしまった

幸いなことに、最終的に二人は協力して赤ちゃんを寝かしつけることができました。福井斗真は慎重に赤ちゃんをベビーベッドに置き、ほっと一息つきました。こんなに小さな子がこれほど騒がしいとは思いもしませんでした。

傍らにいた安藤凪はそれを見て、冗談めかして言いました。

「子育てがそんなに簡単だと思ったの?これはほんの始まりよ。赤ちゃんは夜寝ている時も、基本的に2、3時間おきに授乳が必要で、まとまった睡眠なんて取れないのよ」

福井斗真はそれを聞いて、心配そうに安藤凪を抱きしめました。

「凪ちゃん、君が妊娠してから出産まで、僕はちゃんと側にいてあげられなかった。ごめん、この間辛い思いをさせてしまって。これからはしっかりと君の側にいるよ、子育ての責任も引き受けるから、君には楽に過ごしてもらいたい」

「辛くなんてなかったわ。うちの赤ちゃんは他の赤ちゃんよりずっと大人しいし、私が妊娠中も苦しい思いをさせなかったわ。それに、あなたと赤ちゃんが側にいてくれるだけで、私はいつも一番幸せなの」

安藤凪は首を振りながら言い、その言葉に福井斗真は深く感動しました。そのとき、ベビーベッドに横たわる赤ちゃんが突然小さな声を出し、二人はすぐに声を潜めました。

福井斗真は思わず息を止め、ベビーベッドに横たわる小さな赤ちゃんを見つめ、この瞬間に目を覚まさないことを祈りました。幸い、赤ちゃんは目を覚まさずにいました。

二人は視線を交わし、お互いにほっとしました。

安藤凪は目元に笑みを浮かべ、小声で言いました。「斗真、赤ちゃんの名前は決めた?」

福井斗真は一瞬戸惑い、首を振りました。この間ずっと鈴木湊への対応に追われ、福井氏の問題を処理した後もすぐにここに駆けつけたため、赤ちゃんの名前を考える時間がまったくありませんでした。

「横浜に戻ったら、二人でじっくり小さな子の名前を考えよう」

「じゃあ、小さな子のあだ名は、このまま『赤ちゃん』でいいの?」

安藤凪は疑問に思いながら福井斗真を見ました。

福井斗真はうなずき、眠っている赤ちゃんの顔とぷっくりした頬を見つめました。「『赤ちゃん』というあだ名は彼にぴったりだよ。彼はいつまでも僕たちの赤ちゃんだし、とても可愛いから」

安藤凪は「赤ちゃん」というあだ名がちょっと適当すぎると感じましたが、結局何も言わず、うなずいて同意しました。