第231章 病気

真夜中、安藤凪は焦りを帯びた声で目を覚まし、続いて目の前が明るくなった。彼女は目をこすりながら半身を起こし、あくびをした。「何があったの?外がうるさいわね」

福井斗真は服を着る手を少し止め、この件を安藤凪に隠せないことを知っていたので、思い切って真実を話した。「赤ちゃんが病気になったんだ。さっき家庭医を呼んだところだ」

赤ちゃんが病気?安藤凪は一瞬固まり、その後、頭の中で何かが爆発したかのように、急いでベッドから降りた。しかし、慌てすぎて足がもつれ、床に転びそうになったが、幸い福井斗真がその時彼女を支えた。

安藤凪は両手で福井斗真の服をしっかりと掴み、泣きそうな声と恐怖を滲ませながら尋ねた。「赤ちゃん...赤ちゃんどうしたの」

もし赤ちゃんに何かあったら、彼女は...生きていけないだろう。

「赤ちゃんは大丈夫だから、安心して。凪ちゃん、服を着て、一緒に行こう。赤ちゃんは無事でも、あなたが倒れたら困るからね」福井斗真は片手で安藤凪の腰を支え、彼女の支えとなった。

安藤凪は鼻をすすり、強く頷いた。

赤ちゃんが夜泣きするため、福井斗真は安藤凪にゆっくり休んでもらおうと、専門の住み込みベビーシッターを雇って赤ちゃんの世話をさせていた。夜は赤ちゃんとベビーシッターが一緒に過ごし、ベビーシッターが面倒を見ていたが、先ほどベビーシッターが慌てて駆け込んできて、赤ちゃんが病気だと言ったのだ。

福井斗真がどれほど焦り、心配していても、安藤凪の前では少しも見せられなかった。彼女は今でもとても心配しているのだから。

福井斗真は足元がおぼつかない安藤凪を支えて二階に行った。その時、家庭医はすでに到着し、赤ちゃんの診察をしていた。赤ちゃんの周りの空気を清潔に保つため、家庭医は周囲の女中たちを下がらせ、状況を把握するために福井斗真と安藤凪、そしてベビーシッターだけを残した。

「呼吸器感染による発熱です。点滴を二本処方しますので、点滴をすれば、問題なければ明日には熱が下がるでしょう」家庭医は言いながら、素早く薬を処方した。

安藤凪は傍らに立ち、赤ちゃんが全身真っ赤になり、苦しそうに大泣きする様子を見て、心が大きな手で握りしめられるような痛みを感じた。彼女は福井斗真の腕の中によりかかり、息苦しさを感じていた。