第318章 もう一人来た

小林桂子は仕方なく首を振った。

「この子ったら、結婚の話になるといつもこうなのよ。いつも自分でわかってるって言うけど、こんなに長い間、一度も彼女を連れてきたことがないわ。以前は私のような老いぼれが彼の足を引っ張っていたけど、今でも恋愛する気がないなんて、もしかして私の失敗した結婚生活が彼の心理に何か影響を与えてしまったのかしら」

小林桂子の声には隠しきれない心配が滲んでいた。

安藤凪はむしろ、弟がまだ目覚めていないだけだと思っていた。弟が目覚めれば、小林桂子はむしろ早すぎると感じるかもしれない。「おばさん、ご安心ください。安藤玄は私たちの会社でとても人気がありますよ。彼が結婚したいと思えば、すぐにでも結婚できます。それに私が見ていますから、絶対に一生独身のままにはさせませんよ」