記者たちに再び正面玄関で会って小林桂子の気分を害さないようにするため、安藤凪たちは小林桂子を連れて裏口から出発した。別荘に戻ったばかりのとき、饅頭の世話をしている乳母が心配そうな顔で近づいてきた。
「奥様、赤ちゃんがずっと泣き止まないんです。どうあやしても駄目で…」
安藤凪は饅頭が泣き止まないと聞いて表情を変え、他のことは気にせずすぐに饅頭の部屋へ向かった。小さな子は長時間泣いたせいで喉を痛めてしまい、元々はっきりとした声が今では子猫のように弱々しくなっていて、見ていて心が痛んだ。
彼女は急いで近づき饅頭を抱き上げたが、どうあやしても饅頭は泣き続け、彼女は焦りを隠せなかった。そばにいた福井斗真は眉をひそめて「家庭医を呼ぶように言っておく」と言った。
そのとき、小林桂子が近づいてきた。「安藤さん、私に試させてもらえますか」
彼女はわざわざ手を洗ってきており、安藤凪はためらうことなく饅頭を小林桂子の腕に渡した。小林桂子は片手で饅頭の丸々としたお腹を触り、饅頭をベッドに平らに寝かせた後、彼女の腕の上でうつ伏せにさせ、手のひらで饅頭の頭と首を支えながらゆっくりと立ち上がった。驚いたことに、さっきまで泣き止まなかった饅頭がすぐに大人しくなった。
彼はおとなしく小林桂子の前腕にうつ伏せになり、水気を含んだ大きな目で周りを見回し、最後には小さなゲップをした。安藤凪は驚いて尋ねた。「小林おばさん、饅頭はどこか具合が悪かったんですか?」
「おそらくお腹にガスがたまっていたのでしょう。普段からガス抜き体操をさせてあげて、それからこのように飛行機抱きにすると、彼は楽になります。でもこの姿勢は安藤さんにとっては少し難しいかもしれませんね。これは赤ちゃんのお父さんが、日頃から赤ちゃんを抱っこする必要があるということです」
小林桂子は饅頭の可愛らしい姿を見下ろし、心が溶けそうだった。饅頭は食べて丸々と太り、白くてふっくらとした腕はレンコンの節のようで、時々頭を上げて辺りを見回していた。「この子は安藤玄が小さい頃に似ているわね。甥は母方の叔父に似ると言いますが、確かにその通りね」