第337章 一緒に

「わかったわ。あなたが高給に釣られて承諾したわけじゃないことはよくわかってる。弟のことはよろしくお願いね」

安藤凪は笑いをこらえ、高橋雅子は思わず彼女を睨みつけたが、何も言わなかった。契約後、凪は雅子を弟のチームに直接案内しようとしたが、雅子に断られた。

「いいわ、私は子供じゃないんだから、場所くらい自分で見つけられるわ。それに口があるんだから聞けばいいでしょ。12階だってことは知ってるし、あなたの弟と初めて対面するとき、良い光景にはならないと思うわ。だからあなたが板挟みにならないように、ここで福井社長と一緒にいた方がいいんじゃない?」

高橋雅子はできるだけ婉曲に言ったつもりだったが、凪はその場面を想像することができた。彼女は少し言葉に詰まりながら雅子を見て、ようやく「あなた...弟をあまりいじめないでね」と言った。