鈴木湊が電話を切った後、高橋雅子は自分の口座に二百万円が振り込まれたというメッセージを確認し、思わず「やった!」と声を上げた。そして安藤凪の方を向いて言った。
「凪ちゃん、まさか鈴木湊がこんなにお人好しでお金持ちだったなんて。これは私たち二人で稼いだものよ。凪ちゃん、あなたに百万円あげるわ」
安藤凪は笑いをこらえて首を振った。もし鈴木湊が、彼が苦労して情報を引き出したのに、結局「お人好しでお金持ち」という評価しか得られなかったと知ったら、怒り死にするだろう。
「雅子、これはあなたが稼いだものよ。それに鈴木湊があなたに払った精神的損害賠償だから、私にくれなくていいわ」
最終的に安藤凪の主張に、高橋雅子は諦めるしかなかった。
「でも、凪ちゃん、鈴木湊は私たちの話を聞いて、本当にSグループのプロジェクトを獲得しようとするのかしら」