第379章 わかった

福井斗真の口元に得意げな笑みが浮かんだ。

安藤凪は片手を握りしめ、唇を強く噛みながら顔を上げて福井斗真を睨みつけた。しかし彼女が警告のつもりだった視線は、相手に制圧されている状況のせいで力なく、威圧感どころか、逆に福井斗真の心を揺さぶるだけだった。

彼は頭を下げ、安藤凪の信じられない目の前で、彼女の唇にキスをした。福井斗真は安藤凪に拒否する機会を与えず、片手で彼女の後頭部を押さえ、嵐のように激しいキスを浴びせかけた。

安藤凪は自分が小舟のように感じ、やがて意識が徐々に薄れていき、福井斗真に従うしかなく、両手で彼の腰に回してキスに応えた。

どれくらいの時間が経ったのか分からないが、安藤凪が酸素不足で気を失いそうになった時、ようやく福井斗真は彼女を放した。安藤凪は顔を赤らめながら福井斗真の胸に倒れ込み、この時、頭の中は真っ白だった。