小林桂子はドアベルの音を聞いて、ドアを開けに玄関へ向かった。安藤凪たちはまだ玄関に気づいていなかった。小林桂子がドアを開けると、見知らぬ女性が立っており、困惑した表情で「あなたは...」と尋ねた。
しかしその女性は彼女を押しのけて、勝手に中に入ってきた。小林桂子はよろめき、そのとき初めて、見知らぬ女性の後ろにもう一人の女性がいることに気づいた。そしてこの女性は、小林桂子が知っている人物だった。
彼女はその女性を見るなり、顔色が急変した。
「安藤羽音、なぜここに来たの?」
小林桂子は以前安藤羽音に会ったことがあった。初めて安藤羽音に会ったのは病院で、安藤玄が連れてきたときだった。
小林桂子は安藤羽音が医療費を立て替えてくれたと知ったとき、彼女に感謝し、安藤玄にもこの恩を忘れないよう、後でお金ができたら返すようにと言っていた。しかし安藤羽音には別の目的があったとは。