第399章 なるほど

「いい考えね。」佐藤暖香は言いながら安藤凪に親指を立てた。

傍らにいた高橋雅子も笑いをこらえながら言った。「悪人には悪人をぶつけるのが一番よ。でも凪ちゃん、誰にその役を演じさせるつもりなの?」

安藤凪の考えはとても単純だった。同じくらい気の強い人を雇って、高橋鐘一の母親のふりをさせ、佐藤のお母さんと口論させるというものだ。結局、佐藤暖香はすでに高橋鐘一と結婚しており、しかもかなりの額の結納金を払って迎えられたのだから、佐藤のお母さんが高橋鐘一の財産に目をつけているのは筋が通らないことだった。

この件が大きくなればなるほど、今後佐藤暖香の母親は便乗して利益を得ようとはしなくなるだろう。

安藤凪はしばらく考えた後、頭の中である人物の姿が浮かんだ。

「小林おばさんはどうかしら?」

「小林おばさん?」高橋雅子は真っ先に首を振った。「無理だと思うわ。小林おばさんはとても優しい人だから、あんな気の強い性格を演じられないわ。きっと負けちゃって、逆に罵られるかもしれないわよ。」

「そうとは限らないわ。小林おばさんも田舎育ちだし、一度聞いてみましょう。もし自分には無理だと思うなら、他の人を考えればいいわ。でもその前に、暖香、あなたのお母さんのことは高橋鐘一にはっきり説明しておく必要があるわね。」

安藤凪は視線を佐藤暖香に向けた。

佐藤暖香はもちろんその道理を理解していた。結局、高橋鐘一の母親のふりをするのだから。彼女は真剣にうなずいた。ちょうどそのとき、高橋鐘一がドアを開けて入ってきた。彼は手に菓子の箱を持っていた。安藤凪はその菓子店のブランドを見て、ここからはるか遠くにある店だと気づいた。

佐藤暖香が高橋鐘一を遠ざけるためにわざわざ選んだ場所だったのだろう。

高橋鐘一は安藤凪と高橋雅子を見て少し驚いた様子だった。

「奥様、高橋さん、来てたんですね。」

安藤凪と高橋雅子はうなずいた。そして高橋鐘一が慎重に菓子の箱を開け、佐藤暖香の好きなものを取り出し、そっと彼女に差し出すのを見た。「このドリアンケーキが食べたいって言ってたでしょう?味見してみて、好きな味かどうか。」

佐藤暖香は顔を赤らめ、安藤凪をちらりと見た。

安藤凪は目に笑みを浮かべながら、わざと高橋雅子と話をするふりをした。