第417章 何が真実か

佐藤のお父さんは呆然としたように、一言も発せず、誰が何を聞いても俯いたままだった。次第に、医師は佐藤のお父さんの精神状態が正常でないと判断し、何も言わなくなった。

一方、佐藤のお母さんは包帯を巻かれた後、意識がやや戻り、警察を呼ぶよう叫び始めた。病院の医師は佐藤のお母さんの体の傷を見て、何らかの虐待を受けたと思い、すぐに警察に通報した。

しかし警察が到着すると、佐藤のお母さんは福井斗真が彼らを不法監禁し、家族全員に暴力を振るったと訴えた。記録を取ろうとしていた警察官は福井斗真の名前を聞いて一瞬固まった。誰もが知っている横浜市の大口納税者であり、福井グループの社長である福井斗真だ。

そんな手の届かない存在の人物が、彼ら三人を監禁するだろうか?

「あなたが言うには、あなたたちを監禁したのは福井斗真、福井グループの社長の福井斗真だと?」警察官は真剣な表情で佐藤のお母さんを見つめた。