第446章 私を連れ出して

福井斗真は、この件が安藤凪の実の母親に関わることを知っていた。彼女はきっと心を動かされて行きたいと思うだろう。広瀬慧美がそう簡単に全てを凪に話すとは思えないが、自分がいれば何も恐れることはないと思った。

安藤凪は少し考えた後、承諾した。

二人が会社を出て刑務所へ向かおうとしていたとき、安藤玄と高橋雅子が二人でノックして入ってきた。安藤玄と高橋雅子は二人が温泉湯に行くつもりだと思い、雅子は傍らで冗談めかして言った。

「あぁ、凪ちゃんは私が邪魔だと思って、二人の世界に行くのね。この温泉湯が温かいかどうかも知らないのに」

安藤凪は雅子が自分をからかっていることを知っていた。

彼女は苦笑して、「誤解しないで。今から行くのは温泉じゃなくて、刑務所よ」と言った。

「刑務所?」雅子と安藤玄は口を揃えて言った。