安藤凪は安藤羽音の本性をよく知っていたので、広瀬慧美が今のような状況に陥ったのは、自業自得だと思っていた。高橋雅子はそれを聞いて、隣でため息をついた。
「確かにそうですけど、安藤国彦が亡くなった直後、安藤羽音の手元にはかなりのお金があったはずです。結局彼女は甘やかされて育ったお嬢様で、毎月のお小遣いもかなりの額だったでしょうし、まして隠し財産もあったはず。」
高橋雅子はここまで言って、目に嘲笑の色を浮かべた。
「彼女は状況を理解できなかったんです。安藤国彦は死に、広瀬慧美は刑務所に入り、それでも安藤羽音は自分がお嬢様の生活を続けられると思い込んで、非常に贅沢な暮らしをしていました。今でさえ、高級な生活を諦めようとせず、高利貸しからお金を借りてまでブランド品を買っています。」