第459章 いらない

彼女の言葉が終わるや否や、周囲は一瞬にして静まり返り、安藤凪の顔から笑みが消えた。

高橋雅子も勇者を見るかのようにその女性を見つめていた。先ほど凪ちゃんの言っていた意味は明確だった。3号別荘は値下げを重ねても売れず、ましてや彼らの家なんて言うまでもない。

それなのに彼らは堂々と1500万円と言い放った。

「それでも私たちが得をしているとでも?」安藤凪は皮肉を込めて言った。隣の女性は安藤凪の言葉の意味を全く理解していないようだった。「私たちは隣人同士ですし、100万円も安くするのは難しくありませんよ。友達になるつもりで考えてください」

100万円で彼女と友達になりたいとでも?

「申し訳ありませんが、その価格は高すぎます。それに、私たちの家は不動産に困っていません。弟が欲しいなら、直接彼に一軒与えますから。あなたたちの物件がそんなに人気があるなら、早く売ってしまいなさい。さもないと、長引いて良い値段で売れなくなりますよ」