第510章 連絡先を追加する

安藤凪は慌てることなく口を開いた。

鈴木雪乃の顔色は肉眼で見てわかるほど悪くなった。「じゃあ、あなたはどうやってここに入ってきたの？まさか、学校に招待された優秀な卒業生だなんて言うつもりじゃないでしょうね？」

「そう言いたいならそれでもいいわ。それに、とても偶然なことに、私も福井グループで働いているの。もしあなたたちが将来福井グループに来るなら、私たちは同僚になるわね」

安藤凪は周りを見回し、容赦なく福井グループの宣伝をした。

赤松紫花は彼女が福井グループで働いていると聞いて、目を輝かせた。最後の救いの藁にすがるように。

彼女は期待していた。断られた人が自分ではないことを。ずっと福井グループに入ることが彼女の夢だった。夢が近づいてきたと思ったのに、突然夢が砕け散り、彼女はそれを受け入れられなかった。

「あなたが福井グループで働いているって言うなら、そうなんでしょうね。サングラスをかけて素顔を見せる勇気もないネズミさん。本当に自信があるなら、そのサングラスを外してみなさいよ」

鈴木雪乃は赤松紫花が話す前に口を開いた。

安藤凪はためらうことなく、すぐにサングラスを外した。鈴木雪乃は彼女の顔を見た瞬間、信じられないという表情で目を見開いた。

彼女は安藤凪が福井グループの副社長だと認識したわけではなく、この女性が彼らが山登りで出会った、自分が気に入った男性の妻だと気づいたのだ。この女がどうしてここにいるの？

しかも福井グループの社員を装っている。

鈴木雪乃はもちろん信じなかった。この寄生植物のような女性が、福井グループで働くほど優秀だなんて。福井グループで働ける人は、一流の人材ばかりだ。この女にそんな大きな能力があるはずがない。

もしかして、自分が気に入ったあの男性が福井グループの人なのかしら。

それは、自分が福井グループに行けば、彼に会えるということ？鈴木雪乃はそう考えると、これから始まるインターンシップに期待を抱き始めた。もし彼に会えるなら、この百万円も無駄ではない。

赤松紫花は安藤凪の顔を見た瞬間、頭が真っ白になった。彼女は呆然と安藤凪を長い間見つめていた。明らかにこの顔を認識していた。