「これは……」高橋雅子は恥ずかしそうに鼻をこすった。「私は凪ちゃんを見かけなかったと言ったら信じる?もう一度上に行ってみるわ」
高橋雅子はそう言って、立ち上がり安藤凪のオフィスに向かおうとした。
安藤玄は眉をひそめ、片手で彼女の肩を押さえ、力を入れて再び椅子に座らせた。
「だから、さっきそんなに長い時間上に行って何をしていたんだ?給料泥棒か。まあいい、後で自分で姉さんに聞くから、君はちゃんと仕事をしなさい。サボるなよ」
彼はそう言いながら、高橋雅子の前に積み上げられた厚い束のまだ選別されていないプロジェクト書類を彼女の前に押し出した。「今日の昼食前に、これらのプロジェクト書類を選別しておきなさい。そうしないと、姉さんのところには行かせないよ」
高橋雅子はこの厚い束のプロジェクト書類を見ただけで頭がくらくらした。さらに安藤玄が、これらのプロジェクト書類を処理し終わるまで安藤凪のところに行けないと聞いて焦った。彼女はこの後上に行って様子を見たかったのに、上に行けなければどうやって状況を把握できるだろう。