第570章 犯人

グループチャットには田中志峰を慰める人がいなかったわけではないが、慰めようとする人は皆、田中志峰に無差別に攻撃され、やがて彼に返事をするのは長谷川文恵の共感だけになった。

長谷川文恵は昨日、安藤凪に謝罪するよう強制されたことで、自分も田中志峰と同じように不幸だと感じていた。安藤凪は二人が漫才のように掛け合いをしているのを見て、スマホの電源を切り、無表情で林子成を見つめた。

「この二人の神経はおかしいんじゃない？」

「私もそう思う」林子成は片手で顎を支えながら言った。「でも、福井社長は本当に長谷川文恵に謝罪させるために人を派遣したの？」

「そうよ。彼女が懲りたと思ったんだけど」安藤凪はこういった問題に関わりたくなく、林子成と契約の話をしようとした。

そのとき、彼女のスマホが突然鳴り始めた。見てみると、また地元の見知らぬ番号だった。長谷川文恵が彼女に残した良くない記憶のせいで、彼女は反射的にその電話を切った。しかし、その番号からの着信は続いた。