「こんにちは、安藤玄です」
林子成は目の前に差し出された手を見て、礼儀正しい笑顔を浮かべながら握手した。「こんにちは、林子成です」
「林子成、どこかで聞いたことがある名前だな」安藤玄は小声でつぶやいた後、安藤凪の方を見上げた。「姉さん、彼は今日私に提携の話をするように言っていた担当者じゃないの?」
「私はもう話を終えたわ」安藤凪は否定しなかった。
安藤玄はすぐに林子成に微笑みかけた。「今日は忙しくて、今度食事でもご馳走するよ。さっきのことは本当にありがとう。君がいなかったら、姉さんはあの狂人に刺されていたかもしれない」
「いいえ、当然のことをしただけです。提携がどうなるにせよ、私と安藤凪さんは旧友ですから、どんな時でも見て見ぬふりはできません」
林子成は安藤玄と少し言葉を交わした後、辞去した。安藤玄と安藤凪は会社の中へ歩いて入っていき、先ほど起きた出来事について話すと、安藤玄はまだ少し動揺していた。