安藤凪はしばらくコメント欄を見てから、続けて言った。
「だから、全容を知らないうちは評価を控えるべきです。皆さんが事の真相をすべて知らない状況では、冷静に見守ることをお勧めします。そうしないと、今日のように無実の人々を傷つける刃になってしまいます。もちろん、キーボード戦士は別ですが。時間も遅くなったので、配信を終わります。」
彼女はそう言うと、コメント欄の反応を無視して容赦なく配信を終了した。
「安藤社長、さすがですね。」高橋鐘一は配信機材を片付けながら言った。「今、会社の株価を見たんですが、ずっと上昇していて、福井社長の事件前の臨界点を超えました。今回の広報活動は大成功です。」
「福井佳子と山田嵐の二人に感謝すべきね。彼女たちがこの機会を与えてくれたんだから。」安藤凪は微笑んだが、福井斗真のことを思うと、心の中では抑えきれない不安を感じていた。福井斗真が今どこにいるのか分からなかった。