第605章 罠を仕掛ける

福井斗真はここまで話すと、一口の水を飲んで喉を潤した。

「もし我々がここで少し邪魔をして、この土地の価格をもう少し上げることができれば、15億では足りなくなる。おそらく、この土地は盛世グループの全流動資金で落札されることになるだろう。そしてもしこの土地に何か問題が発生したら……」

福井斗真はわざと言葉を濁し、微笑んだ。安藤凪は少し焦って尋ねた。

「私はその土地を実際に視察したけど、山と水に囲まれていて、近くには移転予定の村が一つあるだけで、大きな墓地などはないわ。たとえ高い価格で落札しても、高級別荘地として開発すれば、必ず人気を集めるはずよ」

「君の言う通りだ。ただし、その土地が無事に開発できればの話だがね」

福井斗真は神秘的に微笑み、片手を安藤凪の背中に置いて、上下に優しく撫でながら、まるで彼女に落ち着くよう促すかのようだった。

「実は、私もこの土地に目をつけていたんだ。ところが、この土地の真ん中にある村が移転する際に、ある物が発見された。この件はまだ公になっていなくて、上層部に報告されている段階だ。だが、土地の入札が終わる頃には、おそらくニュースになるだろう」

「あなたの言っているのは、この下に……」安藤凪は何かを思いついたようで、さっと立ち上がり、信じられないという表情で目を見開いた。

「その情報は確かなの?もしこの村の下が本当に古墳だとしたら、占める面積はどれくらい?もし面積がそれほど大きくなければ、その部分を除外して盛世グループがこの土地を落札しても、利益は出るかもしれないわ」

「下の占める面積はかなり大きいはずだ。私が調査させたところ、下には皇帝の墓があるようだ。皇帝の墓の規模がどれほどか、君も知っているだろう。そして今回の入札が突然前倒しになったのも、この土地が理由なんだ」

福井斗真は安藤凪の手を取って言った。

安藤凪は頭が良く、ほとんど考えずに言った。「後ろにいる人たちがこの土地を売り払いたいということ?」

「その通りだ。この土地は、問題が明るみに出る前は宝の山だ。しかし上からの情報が発表されれば、初期投資は水の泡だ。上層部は適当に少し補償するかもしれないが、絶対に十数億や二十数億を直接補償することはない」

その時になれば、取引は完了しており、鈴木湊が説明を求めても求める場所がない。