第606章 網を張る

咳が長く続き、さらに力を入れすぎたせいで、安藤凪は今話すと、喉がナイフで切られたような感じがした。彼女は片手で自分の喉を押さえ、顔を上げると福井斗真の心配そうな視線と目が合った。

「本当に大丈夫よ、さっき急いで飲んだから、うっかり喉に詰まらせただけ。本当に何でもないから、わざわざ家庭医を呼ぶ必要はないわ」最終的に安藤凪の再三の強調の下、福井斗真はようやく医者を呼ぶ考えを諦めた。

「凪ちゃん、これからスープを飲むときは急がないで。僕も君が食事しているときに質問するのは控えるようにするよ」福井斗真は自分のせいで安藤凪が喉を詰まらせたと思い、この言葉を言うとき、少し自責の念を感じていた。

安藤凪は空笑いを二回した。彼女は昨日わざわざ医者を呼んだのは、自分が妊娠したと思ったからだと言うわけにはいかなかった。結局それは、彼女の不規則な食生活と、考えすぎが原因だったのだ。