安藤凪は藤原夕子を連れて幼稚園の先生と別れた後、藤原朝陽の学校に到着したとき、ちょうど藤原朝陽の学校が下校時間で、次々と生徒たちが校門から出てきていた。安藤凪が藤原朝陽を探していると、突然彼女の手が軽く引っ張られた。
彼女が下を向くと、藤原夕子が目をキラキラさせてある方向を見ていることに気づいた。安藤凪が彼女の視線の先を見ると、確かに藤原朝陽がいた。
藤原夕子は安藤凪の手を振り払って兄のところへ走っていこうとしたが、突然自分がまだ藤原朝陽に対して怒っていることを思い出し、その場に立ち止まった。彼女は口を尖らせ、兄を呼ぶこともしなかった。
安藤凪はこの光景を見て少し頭を悩ませた。夕子が意外と根に持つタイプだとは思わなかった。彼女は藤原朝陽が眉をひそめながら、隣にいる少し太めの友達と歩きながら話しているのを見て、思わず口元が緩んだ。どうやら友達ができたようだ。
彼女は藤原朝陽が前の学校でのいじめが原因で、友達作りに拒絶反応を示すことを恐れていた。今、彼に新しい友達ができたのを見て、ほっと胸をなでおろした。
藤原朝陽が校門に着いたとき、まるで心が通じ合ったかのように、顔を上げて藤原夕子の方向を見た。彼女を見つけると、目を輝かせ、小さな足で彼女の方向に駆け寄ってきた。
「妹!おばさん。」藤原朝陽は目をキラキラさせて妹を見た。藤原夕子はふんと鼻を鳴らし、顔をそむけた。藤原朝陽は鼻をこすり、困った表情で安藤凪を見た。おばさんが妹の機嫌を直すための何かを用意すると言っていたはずだ。
「えーと、まずは家に帰りましょうか。」安藤凪は少し心もとない表情を浮かべた。藤原朝陽の一瞬落胆した表情を見て、彼女の心臓も痛みを感じた。彼女は手を伸ばして藤原朝陽の柔らかい黒髪を優しく撫で、彼に向かってウインクし、口の動きだけで「プレゼントは家にあるよ」と伝えた。
藤原朝陽はやはり子供だけあって、すぐに期待に満ちた表情に変わった。
藤原夕子は兄と綺麗なお姉さんが何の暗号を交わしているのか分からず、小さな体で2秒ほど迷った末、結局手を伸ばして兄の服を引っ張った。藤原朝陽は少し驚いたような表情を見せ、安藤凪はこの光景を見て、目の奥の笑みを深めた。