これも福井斗真が予想できた最良の結果だった。
安藤凪はそれを聞いて、突然心が沈んだような気がしたが、この事件の背後にある闇は、一人の犯人を突き止めただけでは全てを明らかにできないことを理解していた。
福井斗真は安藤凪を抱きしめ、しばらく話をした後、自分の仕事があるためオフィスに戻った。安藤凪は一人で椅子に長い間座り、ようやく何とか納得した。
世界には光の中で生きられる人ばかりではない。彼女にできることは、自分の力の及ぶ限り、光をあらゆる隅々まで届けることだけだった。
……
午後、退社の準備をしていた時、安藤凪は今日黒田さんが福井斗真のところへ行き、佐藤会長たちが来たことを報告したことを思い出した。普段は内向的に見える黒田さんが、佐藤会長が来たことで勇気を出して福井斗真を訪ねるとは思ってもみなかった。