第673章 いじめ

「どういうことなの？」幼稚園には三十人以上いるのに、安藤凪は半分以上は来ると思っていたが、まさか二人の子どもしか来ないとは。彼女は小林おばさんの側に行って尋ねた。

「本当はたくさんの子どもたちが来たがっていたんですよ。でも、夕子と同じクラスの子が、生まれつき意地悪なのか、クラスで夕子は孤児で養子だと言いふらして、夕子の家はボロボロだと言って、夕子を嫌っていると。

その子ったら、クラスで誰が夕子の誕生日パーティーに参加するなら、もう二度とその子と遊ばないと言ったんです。その子は家柄もよさそうで、多くの子どもたちが彼女を恐れていて、みんな夕子の誕生日パーティーに来るのをやめてしまったんです。」

小林おばさんはこの件を思い出すと、怒りが収まらなかった。

「本当に意地悪ね、夕子についてそんな噂を流すなんて。うちの夕子は、普段の食べ物や服、使うものを見れば、どこが孤児に見えるというの。来なければ来ないで構わないけど、夕子が少し傷ついているみたい。」

ここまで言って、小林おばさんは長いため息をついた。

「幼稚園の先生は何も言わなかったの？」

安藤凪はこれを聞いて眉をひそめた。まさか幼稚園でこのような孤立させる事件が起きるとは思わなかった。自分が夕子を迎えに行ったとき、幼稚園の先生は自分を認識しているはずなのに、どうしてこのようなことを許したのだろう。

前回、幼稚園の先生が山田嵐に一方的な言い分だけで夕子を連れて行かせなかったことで、この幼稚園に良い印象を持っていたのに、まさかこんなに早くこのような問題が起きるとは。

「どうやら、夕子のいつもの担任の静先生が今日は休みで、新しい先生が担当していたようです。しかもその新しい先生は、夕子の悪口を言っていた子にとても優しくて、この件について全く対応しなかったようです。」

小林おばさんは自分の知っていることを話した。

安藤凪は詳しく尋ね、藤原夕子をいじめた子どもの名前が中村鈴だと知ると、静先生に電話をかけた。最初に夕子を迎えに行ったとき、静先生の連絡先を聞いていたが、これが初めての電話だった。

電話はしばらく鳴り続け、ようやく相手が出た。「もしもし、どちら様でしょうか。」