第675章 久保輝美の消息

藤原夕子は目をパチパチさせ、安藤凪の胸に顔を埋めて、わあわあと叫び声を上げた。そばにいた藤原朝陽は、まるで本当に安藤凪が饅頭ちゃんを嫌うのではないかと心配しているかのように、急いで言った。「今日、弟は迷惑をかけていません。夕子は弟が好きです。きれいなお姉さん、弟のことを嫌わないでください」

安藤凪は藤原朝陽の緊張した様子を見て、思わず笑みを浮かべた。「私は弟と冗談を言っていただけよ。それはそうと、夕子、あなたは普段幼稚園で楽しく過ごしているの？」

彼女はそう言いながら、自分の隣の席を軽くたたいて藤原夕子を座らせた。藤原夕子は「幼稚園」という言葉を聞くと、明らかに恐怖の表情を浮かべた。それを見た安藤凪は胸に怒りを抱えながらも、自分を抑えて優しく接し、言葉で藤原夕子に幼稚園での出来事を話すよう促した。

「夕子、幼稚園で何があったの？おばさんに話してくれない？」

「わ...わたし...」藤原夕子は両手で服の裾をつまみながら、助けを求めるように兄を見た。本当のことを言うべきかどうか迷っていた。だって、お兄ちゃんは、きれいなお姉さんたちに迷惑をかけないようにと言っていたから。

藤原朝陽は横から励ますように言った。「夕子、何でもおばさんに直接言いなさい。おばさんはきっと助けてくれるよ」

彼は確かに自分と妹が安藤凪の家族に迷惑をかけたくないと思っていたが、それ以上に、妹が学校でいじめられることを望んでいなかった。かつてクラスメイトから集団で孤立させられた経験のある藤原朝陽は、その気持ちをよく知っていた。妹を見つめる彼の目は心痛で一杯で、最近の妹の様子がおかしいことに気づけなかった自分を後悔していた。

藤原夕子は兄の言葉を聞いて、もう躊躇することなく、わっと泣き出し、自分の辛い思いと幼稚園での出来事を全て話した。それを聞いていた大人たちは皆、胸が締め付けられるような思いで、小林おばさんも思わず目を赤くした。

「本当にかわいそうな子だわ、まだこんなに小さいのに」

安藤凪も胸が痛んだが、夕子が全てを話し、感情を爆発させたことはよかった。そうでなければ、ずっと心に溜め込んで何か問題を引き起こしかねなかった。彼女は片手で饅頭ちゃんを抱きながら、もう一方の手で藤原夕子の涙を拭った。