第022章 クズ男に何の価値がある

上野卓夫は素早く手を伸ばし、秋田結が床に落としそうになったドライヤーを掴んだ。

彼は骨ばった長い指で彼女の濡れた髪の毛を一筋絡め取り、「そんなに怒って、さっきは満足させてあげられなかった?」

「……」

10分後。

彼は彼女の髪を放し、ドライヤーのスイッチを切った。

WeChat(微信)の通知音が鳴る。

秋田結は携帯を手に取って開いた。

秋田由貴子からのメッセージだった:【結、あなた調子に乗ってるんじゃないの?何度電話しても出ないし、いっそブロックしたらどう?】

【言っておくけど、『一目萬年』の音声ドラマは引き受けちゃダメ。愛さんの足を引っ張らないで。】

【それに、上野さんが愛さんとスキャンダルを演出してるのは、新しいドラマのためなんだから。あなたと上野さんが結婚したことは、口外しないで。愛さんの評判を傷つけるわよ。】