第058章 あなたと離婚したい

寝室の中。

秋田結の手から携帯電話が落ちた。

床に落ち、鈍い音を立てた。

彼女の頭は真っ白だったが、喉が渇いて目が覚め、水を飲みに起きたことを覚えていた。

しかし。

水の入ったコップを手に取ったばかりだった。

それがテーブルに落ち、さらに床に転がり落ちた。

彼女は呆然と、水が携帯電話にかかり、携帯が完全に濡れるのを見ていた。

部屋のドアが外から開いた。

彼女は振り返った。

入ってきた上野卓夫はドアを内側から鍵をかけ、険しい表情で彼女に近づいてきた。

秋田結は唇を引き締めた。

まるで見知らぬ人を見るように彼を見つめた。

その瞳には怒りすら宿っておらず、どんな感情も与えたくないほど冷たかった。

ただ、さっきまで上気していた小さな顔が、今は紙のように白かった。

「どうしたんだ?」