寝室の中。
秋田結の手から携帯電話が落ちた。
床に落ち、鈍い音を立てた。
彼女の頭は真っ白だったが、喉が渇いて目が覚め、水を飲みに起きたことを覚えていた。
しかし。
水の入ったコップを手に取ったばかりだった。
それがテーブルに落ち、さらに床に転がり落ちた。
彼女は呆然と、水が携帯電話にかかり、携帯が完全に濡れるのを見ていた。
部屋のドアが外から開いた。
彼女は振り返った。
入ってきた上野卓夫はドアを内側から鍵をかけ、険しい表情で彼女に近づいてきた。
秋田結は唇を引き締めた。
まるで見知らぬ人を見るように彼を見つめた。
その瞳には怒りすら宿っておらず、どんな感情も与えたくないほど冷たかった。
ただ、さっきまで上気していた小さな顔が、今は紙のように白かった。
「どうしたんだ?」