秋田結は彼を憎んでいると言った。
彼と離婚したいと。
秋田結はホテルから飛び出したが、パジャマを着ているだけで。
何も持っていないことに気づいた。
携帯もバッグも。
でも彼女は立ち止まらなかった。
そのまま道路を渡り、近くのよく行くコンビニに向かい、店主に電話を借りて草場盟子に電話をかけた。
振込をして、店主から1万円の現金に換えてもらった。
秋田結は自分のアパートには戻らなかった。
彼女は現金を持って、ホテルを見つけて泊まった。
少し落ち着いてから。
パソコンの前に座り、秋田結はネットで「離婚訴訟の起こし方」を検索した。
有料の広告がポップアップした。
彼女はそれをクリックしなかった。
無料のものだけを閲覧した。
雲井洋治の兄が弁護士だということを思い出し、ウェブページを閉じた。