第059章 お前はもう少し卑劣になれないのか

秋田結は彼を憎んでいると言った。

彼と離婚したいと。

秋田結はホテルから飛び出したが、パジャマを着ているだけで。

何も持っていないことに気づいた。

携帯もバッグも。

でも彼女は立ち止まらなかった。

そのまま道路を渡り、近くのよく行くコンビニに向かい、店主に電話を借りて草場盟子に電話をかけた。

振込をして、店主から1万円の現金に換えてもらった。

秋田結は自分のアパートには戻らなかった。

彼女は現金を持って、ホテルを見つけて泊まった。

少し落ち着いてから。

パソコンの前に座り、秋田結はネットで「離婚訴訟の起こし方」を検索した。

有料の広告がポップアップした。

彼女はそれをクリックしなかった。

無料のものだけを閲覧した。

雲井洋治の兄が弁護士だということを思い出し、ウェブページを閉じた。