瞳の冷たさの中に、一筋の決意が浮かび上がった。
上野卓夫の声は冷たく無情だった。「愛さんは永遠に私の妹だ。三井家には決して手を出さない。彼女との約束した十個の事も守る。だが、それだけだ。彼女と結婚するつもりはない。彼女のためを思うなら、諦めるよう説得してくれ」
言い終えると、彼は振り返りもせずに大統領スイートを出て行った。
三井忠誠が一人部屋に残された。
驚きと怒りが入り混じっていた。
——
秋田結はホテルで一晩を過ごした。
翌朝、彼女は朝食を食べ終えた。
ドアベルが鳴った。
モニターで来訪者を確認し、彼女はドアを開けに立ち上がった。
外には、草場盟子と端正な顔立ちの男性が立っていた。
「結ちゃん、何があったの?上野さんが昨夜電話してきて、あなたが私と一緒にいるか聞いてきたわ。それから夜中にまたドアをノックしてきたの。パスワードを変えておいて良かった、そうじゃなきゃ部屋に入ってきたわよ」