第197章 結婚証明書が離婚証明書に変わる(4000字)_3

秋田結は通話ボタンを押すと、上野卓夫の声が携帯から聞こえてきた。「結ちゃん、君のアパートの下にいるよ。降りてきて」

秋田結は窓の外を見やった。

唇を軽く噛み、淡々と言った。「迎えに来なくていいわ。自分で行くから」

「婚姻届を出す時も僕が迎えに行ったじゃないか。下で待ってるよ」

彼はそう言って、電話を切った。

秋田結はベッドから降り、バッグを取って開けた。

中身が揃っているか確認する。

下の階、道路脇に停めたファントムの運転席で、上野卓夫は片腕を下げたガラス窓に置き、長い指の間にはタバコを挟んでいた。

しかし、彼は一口も吸わず、ただ冷たい眼差しで指の間のタバコが燃えるのを見つめていた。

指の間のタバコが燃え尽き、痛みを感じるまで。

彼はようやくマンションの入り口から視線を外し、タバコの吸い殻を消して車から降りた。