第197章 結婚証明書を離婚証明書に交換する(4000字)

廊下の空気が抜け去ったかのようだった。

上野卓夫は薄い唇を固く閉じ、冷たい身体は硬直していた。

秋田結からのメッセージを二度読み、返信を編集しようとしたとき、数メートル先のエレベーターから三井忠誠の声が聞こえてきた。「卓夫。」

上野卓夫は目の奥の感情を隠した。

振り向くと、自分に向かって歩いてくる三井忠誠が見えた。

「上野お婆さんの状態はどう?」

三井忠誠は近づくと、心配そうに尋ねた。

「変わらないよ。」

上野卓夫の声は冷たく、全身から無関心さが滲み出ていた。

三井忠誠は目を伏せて尋ねた。「ネット上の投稿を削除したのは君か?」

「何の投稿だ?」

上野卓夫は冷淡に片眉を上げた。

三井忠誠は言葉に詰まり、顔色が沈んだ。

彼の声にも硬さが混じった。「卓夫、僕たちはこれだけ長い付き合いなのに、そんな態度を取る必要があるのか?」