秋田結は目を伏せ、別れの寂しさを隠した。
明るく振る舞って言った、「ビデオ通話できるじゃない」
「でも私、結ちゃんがいなくなるのが寂しいよ」
草場盟子は秋田結を強く抱きしめ、名残惜しそうに彼女を見つめた。「結ちゃん、あなたがいなくなったら、私たちの青雲音はどうなるの?」
「普通に営業するわ」
——
秋田結と雲井洋治たちは一週間かけて。
帝都でレンタルしたレコーディングスタジオで『一目萬年』の音声ドラマを録り終えた。
途中で数日間録音を中断したこともあり。
最後のエピソードを録り終えた時、秋田結は安藤凛太郎からの電話を受けた。
今日の午後、帝都に来るから、夜一緒に食事をしようと言われた。
夜、帝都のあるホテルの個室で。
秋田結、雲井洋治、草場盟子の三人がホテルに到着すると、個室には安藤凛太郎の他に湯川大助もいた。