第287章 もし……彼を許さない

秋田鉄平は動画の中で知恵ちゃんの腕の中に縮こまっている知心を見て、幼い頃の結ちゃんの姿を見ているような気がした。

心臓が締め付けられるような痛みを感じた。

知恵ちゃんは表面上は大胆に見えるが、目の利く人なら誰でも分かる。

彼は強がっているだけだ。

妹を守る良い兄になろうと必死に努力している。

彼は胸が痛くて息もできず、自責の念に駆られて頭を打ち付けて死にたいとさえ思った。

この考えが頭をよぎった時、彼は突然思った。もし自分が死んだら、彼らは結ちゃんの子供たちを捕まえて、上野卓夫を脅すしかないだろう。

もしそうなれば、上野卓夫は二人の子供の居場所を知り、彼らを救出する方法を考えることができる。

少なくとも、今のような状況にはならない。

彼らは二人の子供を使って自分を脅しているが、きっと上野卓夫と結ちゃんには伝えていないだろう。