第329章 男が突然後ろから……

主寝室のドアを開けると、秋田結はしばらく呆然としていた。

部屋の中の様子は、3年前と何も変わっていなかった。

ベッドのシーツセットの色さえ、以前と同じだった。

彼女はウォークインクローゼットに入り、クローゼットを開けて上野卓夫のシャツを一枚取った。

出ようとしたとき、何かに導かれるように、隣のクローゼットの取っ手を引いた。すると中には女性用の服が整然と掛けられているのが見えた。

全て新品で、タグもまだ付いたままだった。

「これらの服は君のために用意したものだ」

男性の低く磁性のある声がクローゼットの外から聞こえてきた。

秋田結はクローゼットの取っ手を握る手が震えた。

振り向くと、上野卓夫の長身の姿がそこに立っていた。

逆光で彼の表情はよく見えなかったが、彼の視線の熱さだけは感じ取れた。