第341章 心動かない男はいない

青雲音。

秋田結は小川雪由利が雲井洋治に送ったメッセージを見た。

彼女の退職を承諾した。

彼女と雲井洋治がペアを組んで、新しいドラマを録音することになった。

正式な録音が始まると、秋田結の毎日はスケジュールがびっしりと埋まった。

自宅、病院、スタジオの間を行き来する日々。

あっという間に、一週間が過ぎた。

金曜日の午後、草場盟子は秋田結に退院したいと告げた。

「結ちゃん、ここにいるともう退屈で死にそう。医者も言ってたわ、リハビリさえ怠らなければ退院してもいいって。」

病床で、草場盟子は秋田結の手を揺さぶりながら、草場母を説得してくれるよう頼んだ。

秋田結は目を伏せ、彼女の足に視線を走らせた。

確約せずに言った。「草場おばさまに話してみるけど、退院を許可するかどうかは保証できないわよ。」