第345章 彼はあなたを深く愛している

二階、三井康隆の書斎で。

秋田結がバッグから鍵を開けるための細い針金を取り出したところだった。

上野卓夫からのメッセージが届いた。【結ちゃん、三井おじさんが突然帰ってきて、もう二階に上がってきたよ。すぐに離れて】

彼女は眉をひそめ、瞳に一瞬の迷いが過った。

それでも素早く書斎を出た。

三井家が彼女のために用意した新しい部屋に戻ったばかりのとき、階段から三井忠誠と三井康隆が話しながら上がってくる声が聞こえた。

「お父さん、まずは荷物を部屋に置いてきたら?僕は結ちゃんを見てくるよ」

停電していたので、三井忠誠も暗闇で料理を作りたくなかった。

さっき管理会社から電話があり、停電の原因を調査中で、すぐに復旧するだろうとのことだった。

彼は秋田結の部屋の前に来てノックした。