第406章 彼女は結ちゃんではなく、三井美咲だ_3

気絶することはなかった。

彼女の白く細い指が上野卓夫の服をつかみ、切迫した様子で言った。「上野卓夫、三井美咲がお婆さんの病室に行くふりをしたわ。すぐに木村峰に電話して知らせて。」

「わかった。」

上野卓夫の瞳の色は墨のように暗かった。

片手で秋田結を抱き寄せながら、もう片方の手で木村峰に電話をかけた。

二歩離れたところで、天満健司の声が聞こえた。「社長、車の中の人が気絶しています。」

秋田結は小声で言った。「あの三人がやったのよ。」

「縛っておけ。今井幸助に電話して、人を派遣して連れて行かせろ。」

上野卓夫が言い終わると、電話の向こうから木村峰の声が聞こえた。「社長、秋田さんが病院に来ました。」

「彼女は結ちゃんじゃない。三井美咲だ。病室に入れるな。」

「あ...はい、わかりました。」