今、冬の季節である。
深夜の病院の外、冷たい風が吹き荒れている。
秋田結と上野卓夫以外、誰もいない。
そして三井康隆は上野卓夫が秋田結から手を離し、車を開けに行った瞬間を狙って突っ込んできた。
秋田結は全く無防備で、逃げ場も退く場所もなかった。
眩しいライトに照らされて目を開けることができない。
秋田結がここで死ぬと思った瞬間。
横から、突然強い力で彼女が引っ張られた。
彼女は男性の腕の中に倒れ込んだ。
男性の馴染みのある心配そうな声が耳元に落ちた。「結ちゃん。」
上野卓夫が彼女を救ったのだ。
しかし。
彼のこの救出行為は、自分を危機に陥れることになった。
三井康隆の車が、彼ら二人に向かって突っ込んできた。
「結ちゃん、先に車に行って。」
上野卓夫は秋田結を押しのけた。