第423章 結ちゃん、私は彼女に対して決して…

目が合った。

上野卓夫は振り返った。

半開きのドアの向こうから、清楚な表情の小柄な女性を優しい眼差しで見つめた。

しばらくして、彼は薄い唇を開き、低く穏やかな声で言った。「三井愛は、もう現れない」

「...」

秋田結は返事をしなかった。

ただ静かに彼を見つめていた。

彼女は今、彼の言葉を聞いたが。

しかし、彼が三井愛をどうしたのかは分からなかった。

上野卓夫の瞳に暖かさが宿り、大きな手で彼女の小さな手を捕まえた。

そのまま彼女の家に足を踏み入れた。

「三井愛はすでに恋風島に送られた」

「いつ?」

秋田結の声からは感情がほとんど読み取れなかった。

冷静そのものだった。

「昨夜結果が分かって、すぐに手配した」

高橋晴子が三井愛だと確認できた以上、上野卓夫は彼女に情けをかけるつもりはなかった。