目が合った。
上野卓夫は振り返った。
半開きのドアの向こうから、清楚な表情の小柄な女性を優しい眼差しで見つめた。
しばらくして、彼は薄い唇を開き、低く穏やかな声で言った。「三井愛は、もう現れない」
「...」
秋田結は返事をしなかった。
ただ静かに彼を見つめていた。
彼女は今、彼の言葉を聞いたが。
しかし、彼が三井愛をどうしたのかは分からなかった。
上野卓夫の瞳に暖かさが宿り、大きな手で彼女の小さな手を捕まえた。
そのまま彼女の家に足を踏み入れた。
「三井愛はすでに恋風島に送られた」
「いつ?」
秋田結の声からは感情がほとんど読み取れなかった。
冷静そのものだった。
「昨夜結果が分かって、すぐに手配した」
高橋晴子が三井愛だと確認できた以上、上野卓夫は彼女に情けをかけるつもりはなかった。