森川萤子は眉をひそめた。当時、幼稚園は千夏ちゃんの退園を言い渡し、一切の余地を残さなかった。
今になってどうして積極的に電話をかけてきて、千夏を戻して通わせようとするのだろう?
「甘美先生、理由を知りたいのですが?」と森川萤子は言った。
「森川さん、もう聞かないでください。私たちの仕事のミスだと思ってください。安心してください、千夏ちゃんが幼稚園に戻ってきたら、私が特別に面倒を見ます」
森川萤子は本来、若松様の病状が安定してから、千夏のために新しい幼稚園を探すつもりだった。
まさか甘美先生から電話があり、千夏を幼稚園に戻すよう言われるとは思わなかった。
これは彼女の差し迫った問題を解決してくれた。
退園も不可解だったし、再入園も不可解だったが、森川萤子はやはり千夏に幼稚園に行ってほしかった。