久保海人も困惑していた。何となく事態が彼のコントロールを離れていくような不安を感じていた。
「私は何も……」
久保海人が説明する間もなく、深谷美香が数人を連れて四つの大きな段ボール箱を持って入ってきた。
「美香、何をしに来たんだ?」
久保海人は深谷美香を見た瞬間に表情が変わり、四つの大きな段ボール箱を見ると、本能的に片桐家の人々の前に立ちはだかった。それが何か生物兵器で、彼らを傷つけるのではないかと恐れたのだ。
深谷美香は真っ赤な唇で、傲慢に言った。「あなたに結納品を届けに来たのよ。見てごらん、これは私がちょうどあなたの家から運び出してきたもの。まだ温かいわ。片桐お嬢様の趣味にも合いそうだから、先に持ってきてあげたの」
深谷美香が眉を上げると、連れてきた人たちはすぐに段ボール箱を開けた。二箱は服、一箱は靴、もう一箱はアクセサリーが入っていた。