188 彼女は彼を抱きしめたいと思った

江川淮は風のように急いでやってきて、道端に停まっている点滅するライトの救急車を見た。

救急車の横には交番のパトロールバイクが二台停まっており、制服を着た四人の警官が救急車に寄りかかっている片桐陽向を囲んで、何かをメモしていた。

江川淮は駆け寄り、片桐陽向の白いシャツに点々と付いた血痕を見て、顔色が一変した。

「ボス、怪我してるじゃないか、襲った奴はどうした、逃げたのか?」

江川淮は熱した鍋の上の蟻のように焦った。「兄貴はどこだ、あなたと一緒じゃなかったのか、どうしてあなただけになったんだ?」

片桐陽向は手を上げて彼の肩を押さえた。「落ち着け、大丈夫だ」

江川淮は彼の腹部に巻かれたばかりの包帯を見つめた。「こんなに血を流して、どうして大丈夫なんだ?」

「江川淮!」