「ok!」
西村絵里:「……」
やはり、甘奈は藤原海翔が退団すると聞いて不満そうだった。こんなにハンサムな副団長をどこで見つけられるだろうか。
大人と子供、優しさと強さを兼ね備えて、西村絵里はすぐに折れた。
「わかったわ!今回だけよ、次はないからね。」
「問題ないよ!」
……
翌日の昼、やはり奴隷根性だろうか。今日、黒田真一からは何の電話もなく、昼休みになるとすぐに、西村絵里はお弁当の箱とギフトボックスを持って黒田真一のオフィスに向かった。
ノックして入ると、男性の口元に満足げな笑みが浮かんだ。視線を時計から離し、西村絵里、とても時間通りだ。
うん、お腹が空いた。
「黒田社長、お昼ごはんです。」
西村絵里は予め温めておいた昼食を黒田真一の前に置き、唇を軽く噛んだ。
「それから、これは受け取れません。申し訳ありません。」
言い終わると、西村絵里は手にしていたギフトボックスを黒田真一の前に置いた。黒田真一は目を細めた。
「理由は?」
黒田真一は背もたれに身を預け、口元に鋭い笑みを浮かべながら、目の前の女性を軽く見つめた。
西村絵里は背筋を伸ばした:「私はただのデザイン部の一社員です。黒田社長のそんな大きな恩恵を受ける資格はありません。」
自分は建築デザイナーだが、このドレスは受賞作品で、数百万円の価値がある。あまりにも高価すぎる。
黒田真一は興味深そうに目の前の女性を見つめ、問い返した:「会社の年次パーティーがなぜ仮面舞踏会なのか知っていますか?」
「わかりません。ご教示ください。」
「毎年のパーティーには、黒田奥さんが私と一緒に出席するからです。」
西村絵里:「……」
つまり、仮面をつけることで、他の人は黒田奥さんの正体を知らないということ。
黒田真一は毎年、体型が似ている女性を伴侶として連れて行けばいいだけだ。
こうして、黒田奥さんは常に公の場に姿を現さないわけではなく、黒田グループの年次パーティーという非常に重要な場で姿を見せている。
もし仮面舞踏会でなければ、黒田奥さんが公の場に出ることで、黒田真一との名ばかりの結婚を隠し通すことはできない。
「つまり、黒田社長のおっしゃりたいことは……」
「あのドレスは、私が黒田奥さんのために用意したものです。」