国際的に有名なデザイナー、高価なダイヤモンドや宝石が散りばめられた、値段の張るドレス!
西村绘里は少し呆然としていたが、隣にいる甘奈はにこにこと笑い、手足を踊らせながら興奮して尋ねた。「ママ、これは私の弟が送ってきたの?」
「うーん、違うわ……差出人の名前がないわ」
西村绘里は丁寧にギフトボックスの内外を調べたが、確かにカードは一切なかった。ただ、かすかな麝香の香りがしていた。
西村绘里は美しい瞳を見開いた。麝香の香りは黒田真一の体から漂う香りだった。このドレスは、午後に店で見かけたもので、自分が気に入って、つい何度か見てしまったものだった。その時、黒田真一はすぐ側にいた。
彼以外に、思い当たる人はいなかった。
西村绘里の心は一瞬で冷え込んだ。自分は少しも好意を表に出さず、ただ何度か見ただけなのに、黒田真一は人の心を深く理解し、自分の思いを見透かしていた。
こんな風に細部まで全て見抜いてしまう男性は、恐ろしい存在だった。
「うーん、ママ、服も靴もとても綺麗ね……」
甘奈はこんなに精巧なドレスを初めて見て、目を離すことができなくなっていた。
西村绘里は口元を少し曲げ、手早くギフトボックスの蓋を閉めた。
「うーん、綺麗でも自分のものじゃないわ。甘奈さん、エビのクリスタル炒めが食べたい?食べたいなら、おりこうさんにソファでアイドル番組でも見ていなさい」
「へへへ、食べたい……了解、ママ」
やはり、甘奈は美味しい食べ物の話を聞くと、すぐに目を輝かせ、ぴょんぴょんとソファに向かって走り、正確にTfboyの生放送番組をつけた。
ららら、boyはパパが私を守るために送ってくれた天使。
西村绘里は口元を上げ、手早くギフトボックスを脇に置いた。正体不明のものは、触れない方がいい。
……
西村绘里が四品の料理とスープを作り終えると、藤原海翔が正確に食事にやってきた。甘奈は自分のイケメン弟を見て大喜びし、一緒に食べようと呼びかけた。西村绘里は遠ざけたいと思ったが、甘奈がこんなに喜んでいる様子を見て、結局許可した。
夕食後、藤原海翔はまるで手品のように精巧なギフトボックスを取り出した。
「绘里ちゃん、君の作った食事を食べたから、お返しだよ」