国際的に有名なデザイナー、高価なダイヤモンドや宝石が散りばめられた、値段の張るドレス!
西村绘里は少し呆然としていたが、隣にいる甘奈はにこにこと笑い、手足を踊らせながら興奮して尋ねた。「ママ、これは私の弟が送ってきたの?」
「うーん、違うわ……差出人の名前がないわ」
西村绘里は丁寧にギフトボックスの内外を調べたが、確かにカードは一切なかった。ただ、かすかな麝香の香りがしていた。
西村绘里は美しい瞳を見開いた。麝香の香りは黒田真一の体から漂う香りだった。このドレスは、午後に店で見かけたもので、自分が気に入って、つい何度か見てしまったものだった。その時、黒田真一はすぐ側にいた。
彼以外に、思い当たる人はいなかった。
西村绘里の心は一瞬で冷え込んだ。自分は少しも好意を表に出さず、ただ何度か見ただけなのに、黒田真一は人の心を深く理解し、自分の思いを見透かしていた。